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第 3 章

更新ステップ — 観測で予測を修正する

観測と予測の差(イノベーション)を、カルマンゲインの割合だけ使って予測を更新する手順を数で追う。

予測ができたら、次は観測を見て修正します。修正量を決める中心は、観測と予測の差(イノベーション)です。

観測と予測の差(イノベーション)

観測と予測の差を y = z − x̂⁻ と置きます。これが正なら観測は予測より上、負なら下です。この差は「予測しきれなかった分の新しい情報」を表すため、英語では innovation(イノベーション)と呼ばれます。本講座では、以後も 観測と予測の差(イノベーション) と日本語と併記します。

y = z − x̂⁻

観測でどれだけ予測を修正するか

観測と予測の差をそのまま全部使うのではなく、カルマンゲイン K を掛けたぶんだけ修正します。K の中身(P⁻R から決まる式)は次章で扱います。

x̂ = x̂⁻ + K y

K が 0 に近ければ予測寄り、1 に近ければ観測寄りです。

理解チェック 1 — 観測と予測の差(イノベーション)で観測を取り込む

観測と予測の差(イノベーション)y = z − x̂⁻ とカルマンゲイン K を使って、推定を 1 ステップ動かします。なお、K の中身は次章で扱うので、ここでは値を与えられたものとして使ってください。

Q1. 予測値 x̂⁻ = 10、観測 z = 14 のとき、観測と予測の差(イノベーション)y はいくつですか。

Q2. 続けて K = 0.25 のとき、更新後の推定値 はいくつですか。

Q3. 予測値 x̂⁻ = 18、観測 z = 10 のとき、観測と予測の差(イノベーション)y はいくつですか。

Q4. 続けて K = 0.75 のとき、更新後の推定値 はいくつですか。

観測を取り込んだあと、不確かさは下がる

観測を取り込んだあとは、推定の不確かさも更新します。これは更新ステップの 2 つ目の重要な式 で、推定値の修正と並んで必ず一緒に計算します。

P = (1 − K)P⁻

信頼できる観測を取り込んだぶん、更新後の分散 P は必ず小さくなります(R > 0 なら 0 < K < 1 なので、P = (1 − K)P⁻ < P⁻)。

理解チェック 2 — 更新後の分散と極端な K

更新後の分散 P を計算し、K が極端な値になるケースを考えます。

Q1. 予測分散 P⁻ = 8K = 0.25 のとき、更新後の分散 P = (1 − K)P⁻ はいくつですか。

Q2. K = 0 のときの更新として正しいものはどれですか。

Q3. K = 1 のときの更新として正しいものはどれですか。

この章で持ち帰る直感

更新は「観測との差を、どれだけ信じるかに応じて混ぜる」操作です。次章では、この「どれだけ信じるか」を決める K の中身を見ます。