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第 2 章

λ と確率質量関数 — P(X = k) を手で出す

Poisson の中心式 P(X = k) = e^(−λ) λ^k / k! を、小さな λ で自分の手で出せるようになる。

棒 1 本が 1 つの件数

Poisson の本体は P(X = k) です。k = 0, 1, 2, ... それぞれに「その件数が起きる確率」が割り当てられます。

離散分布0 件から数える棒 1 本 = 1 件数確率の総和は 1
0 1 2 3 4 λ = 2

λ = 2 の棒グラフ。1 本 1 本が P(X = k) で、全体の高さを足すと 1 になります。

件数データから確率へ橋渡しする

Ch1 では、固定区間で観測した件数を、確率モデルに繋げたいという話をしました。件数 k がどれくらいの頻度で現れるかを表現するには、k = 0, 1, 2, ... それぞれに「その件数が起きる確率」を割り当てる関数が必要です。これが確率質量関数(pmf)で、ポアソン分布ではこの関数が λ ひとつだけで決まります。

Poisson の中心式

ポアソン分布の確率質量関数(pmf)は次の形です。

P(X = k) = e^(−λ) λ^k / k!

3 つの部品を順に意味付けすると、式の形が覚えやすくなります。

  • λ^k: 平均件数 λ の系で件数 k を 1 つの並び順で観測したときの「重み」。
  • k!: 同じ k 件でも並び順を区別しないための割り戻し。たとえば k = 2 のとき「先に A → 後で B」と「先に B → 後で A」の 2 通りを 1 通りとして数えるため 2! で割ります。k = 3 なら 6 通りを 1 通りとみなすため 3! で割ります。
  • e^(−λ): 全体の確率を 1 に揃えるための規格化係数。k = 0, 1, 2, ... についての λ^k / k! をすべて足すと、テイラー展開から Σ λ^k / k! = e^λ なので、これを 1 にするには e^(−λ) を掛けるのが自然です。e は天下りに出てくるのではなく、「全部足したら 1」を実現する係数として現れます。

この 3 つを組み合わせると、調整だと捉える感覚で P(X = k) を読めるようになります。

計算問題に進む前の準備: 近似値表

これから手で P(X = k) を計算するときに、毎回 e^(−λ) を厳密に求めるのは手間です。下の近似値表をブックマークして、必要なときに参照してください。たとえば λ = 2 の問題を解くときは e^-2 ≈ 0.1353 を使います。

覚えておく近似
e^-10.3679
e^-20.1353
e^-30.0498
e^-40.0183

階乗は分母に出てきます: 0! = 1, 1! = 1, 2! = 2, 3! = 6, 4! = 24。件数なので k は 0 以上の整数だけを扱います。

理解チェック 1 — λ = 2 で 3 本出す

λ = 2 を使って、0 件・1 件・3 件の確率を手で出してみます。e^-2 ≈ 0.1353 を使ってよいです。

Q1. P(X = 0) はいくつですか。

Q2. P(X = 1) はいくつですか。

Q3. P(X = 3) はいくつですか。

隣り合う棒は、毎回ゼロから計算しなくてもよい

Poisson の pmf には便利な関係があります。

P(X = k + 1) = P(X = k) × λ / (k + 1)

たとえば λ = 2 のとき、P(3) が分かれば P(4)× 2 / 4。シミュレータやコードでもこの関係をよく使います。

理解チェック 2 — λ を変える・比を使う

λ = 3 に変えたり、隣り合う確率の比 P(k+1) = P(k) × λ / (k+1) を使ったりします。

Q1. λ = 3 のとき、P(X = 2) はいくつですか(e^-3 ≈ 0.0498 を使ってよい)。

Q2. λ = 2P(X = 3) ≈ 0.180 が分かっているとき、P(X = 4) = P(X = 3) × λ / 4 はいくつですか。

山の頂上は λ 付近に来る

λ を大きくすると棒グラフの山は右へ動きます。整数の λ では山の頂上が 2 本並ぶこともあります。たとえば λ = 3 では 2 件と 3 件が同じ高さです。

理解チェック 3 — 山の頂上を読む

λ が整数のときは、山の頂上が 2 本並ぶことがあります。

Q1. λ = 3 のとき、最も出やすい件数はどれですか。

第 2 章のまとめ

  • Poisson の pmf は P(X = k) = e^(−λ) λ^k / k!
  • 0 件・1 件・2 件を手で計算すると、棒グラフの意味が急に具体的になる。
  • 隣り合う確率は P(k + 1) = P(k) × λ / (k + 1) でつながっている。