λ と確率質量関数 — P(X = k) を手で出す
Poisson の中心式 P(X = k) = e^(−λ) λ^k / k! を、小さな λ で自分の手で出せるようになる。
棒 1 本が 1 つの件数
Poisson の本体は P(X = k) です。k = 0, 1, 2, ... それぞれに「その件数が起きる確率」が割り当てられます。
λ = 2 の棒グラフ。1 本 1 本が P(X = k) で、全体の高さを足すと 1 になります。
件数データから確率へ橋渡しする
Ch1 では、固定区間で観測した件数を、確率モデルに繋げたいという話をしました。件数 k がどれくらいの頻度で現れるかを表現するには、k = 0, 1, 2, ... それぞれに「その件数が起きる確率」を割り当てる関数が必要です。これが確率質量関数(pmf)で、ポアソン分布ではこの関数が λ ひとつだけで決まります。
Poisson の中心式
ポアソン分布の確率質量関数(pmf)は次の形です。
P(X = k) = e^(−λ) λ^k / k!3 つの部品を順に意味付けすると、式の形が覚えやすくなります。
λ^k: 平均件数λの系で件数kを 1 つの並び順で観測したときの「重み」。k!: 同じk件でも並び順を区別しないための割り戻し。たとえばk = 2のとき「先に A → 後で B」と「先に B → 後で A」の 2 通りを 1 通りとして数えるため2!で割ります。k = 3なら 6 通りを 1 通りとみなすため3!で割ります。e^(−λ): 全体の確率を 1 に揃えるための規格化係数。k = 0, 1, 2, ...についてのλ^k / k!をすべて足すと、テイラー展開からΣ λ^k / k! = e^λなので、これを 1 にするにはe^(−λ)を掛けるのが自然です。eは天下りに出てくるのではなく、「全部足したら 1」を実現する係数として現れます。
この 3 つを組み合わせると、調整だと捉える感覚で P(X = k) を読めるようになります。
計算問題に進む前の準備: 近似値表
これから手で P(X = k) を計算するときに、毎回 e^(−λ) を厳密に求めるのは手間です。下の近似値表をブックマークして、必要なときに参照してください。たとえば λ = 2 の問題を解くときは e^-2 ≈ 0.1353 を使います。
| 覚えておく近似 | 値 |
|---|---|
e^-1 | 0.3679 |
e^-2 | 0.1353 |
e^-3 | 0.0498 |
e^-4 | 0.0183 |
階乗は分母に出てきます: 0! = 1, 1! = 1, 2! = 2, 3! = 6, 4! = 24。件数なので k は 0 以上の整数だけを扱います。
理解チェック 1 — λ = 2 で 3 本出す
λ = 2 を使って、0 件・1 件・3 件の確率を手で出してみます。e^-2 ≈ 0.1353 を使ってよいです。
Q1. P(X = 0) はいくつですか。
P(X = 0) = e^-2 × 2^0 / 0! = e^-2 ≈ 0.135。
Q2. P(X = 1) はいくつですか。
P(X = 1) = e^-2 × 2^1 / 1! = 2e^-2 ≈ 0.271。
Q3. P(X = 3) はいくつですか。
P(X = 3) = e^-2 × 2^3 / 3! = e^-2 × 8 / 6 ≈ 0.180。
隣り合う棒は、毎回ゼロから計算しなくてもよい
Poisson の pmf には便利な関係があります。
P(X = k + 1) = P(X = k) × λ / (k + 1)たとえば λ = 2 のとき、P(3) が分かれば P(4) は × 2 / 4。シミュレータやコードでもこの関係をよく使います。
理解チェック 2 — λ を変える・比を使う
λ = 3 に変えたり、隣り合う確率の比 P(k+1) = P(k) × λ / (k+1) を使ったりします。
Q1. λ = 3 のとき、P(X = 2) はいくつですか(e^-3 ≈ 0.0498 を使ってよい)。
P(X = 2) = e^-3 × 3^2 / 2! = e^-3 × 9 / 2 ≈ 0.224。
Q2. λ = 2 で P(X = 3) ≈ 0.180 が分かっているとき、P(X = 4) = P(X = 3) × λ / 4 はいくつですか。
隣り合う確率の比 P(k+1) = P(k) × λ / (k+1) を使って 0.180 × 2 / 4 ≈ 0.090。
山の頂上は λ 付近に来る
λ を大きくすると棒グラフの山は右へ動きます。整数の λ では山の頂上が 2 本並ぶこともあります。たとえば λ = 3 では 2 件と 3 件が同じ高さです。
理解チェック 3 — 山の頂上を読む
λ が整数のときは、山の頂上が 2 本並ぶことがあります。
Q1. λ = 3 のとき、最も出やすい件数はどれですか。
λ が整数のときは、山の頂上が 2 つ並びます。λ = 3 では 2 件と 3 件が同じ高さ。
第 2 章のまとめ
- Poisson の pmf は
P(X = k) = e^(−λ) λ^k / k!。 - 0 件・1 件・2 件を手で計算すると、棒グラフの意味が急に具体的になる。
- 隣り合う確率は
P(k + 1) = P(k) × λ / (k + 1)でつながっている。