総合演習と全問レビュー
単一遺伝子・X 連鎖・mtDNA・多因子・検査を 8 問で横断的に仕上げる総合演習。
この章で使うことば
ここで仕上げる
この章では、ここまでの考え方を 8 問でまとめて確認します。見たいポイントは次の 4 つです。
合格の目安: この章 8 問のうち 6 問以上、かつ全体で 42 問中 34 問以上を一つの目安にしてください。これは 正答率およそ 75〜80% に相当し、入門レベルの教材で「主要な見方を一通り押さえられている」と判断する経験則的な目安です。資格試験の合格基準ではないので、これを下回ったからといって心配する必要はなく、未回答のところを 1 周戻れば十分立て直せます。
総合演習で使う視点
| 章 | この章で使う見方 |
|---|---|
| 第 1・2 章 | DNA / 遺伝子 / 染色体 / ゲノムの単位をそろえる |
| 第 3 章 | A/a × A/a、A/a × a/a を 4 マスの表で読む |
| 第 4 章 | X 連鎖は「父→娘に X、父→息子に Y」、mtDNA は母系 |
| 第 5 章 | 多因子と浸透率、相対リスクと絶対リスクを切り分ける |
| 第 6 章 | VUS・陰性・家族歴メモを「未確定 / 範囲限定 / 入口」として読む |
復習のコツ
間違えた問題は、「答え」だけでなく どの種類のミスだったかを特定 すると、改善しやすくなります。たとえば、
- 単位を混同したのか(DNA / 遺伝子 / 染色体)
- 誰から何が渡るかを取り違えたのか(X 連鎖 / mtDNA)
- 確率と確定を混同したのか(多因子 / VUS / 陰性)
のように分けて振り返ると、次に同じミスをしにくくなります。
総合演習 7-1 — 単一遺伝子と非メンデル遺伝をまたぐ
確率と「誰から何が渡るか」を、ケースをまたいで確認します。
Q35. 常染色体劣性の入門モデルで、両親がともに保因者 A/a です。すでに 2 人続けて非発症でした。3 人目が a/a になる確率は何%ですか。
A/a × A/a なら、各妊娠ごとに a/a は 25% です。前の 2 人の結果は、3 人目の 4 マス表を書き換えません。
Q36. X 連鎖劣性の入門モデルで、母が保因者、父が症状なしのとき、最も症状が出やすい集団はどれですか。
教科書的な XX/XY モデルでは、保因者の母からは息子に症状が出やすく、息子に限れば 50% です。
Q37. mtDNA に関する入門的な説明として、最も適切なものはどれですか。
ミトコンドリア DNA は通常、母側から子へ伝わると整理します。
Q38. ある病気に関わるバリアントを持つ家族の一部に症状がなく、一部には症状があります。この説明として、最も適切な概念はどれですか。
同じバリアントを持っていても表現型が出ない人がいるなら、不完全浸透の考え方が近いです。
総合演習 7-2 — 多因子・検査・家族歴を仕上げる
最後は多因子・VUS・家族歴まで含めて確認します。
Q39. 心疾患が一家に多い家系を見たとき、最初の整理として、最も適切なものはどれですか。
家族内で同じ病気が多くても、単一遺伝子、複数遺伝子、食事や運動などの共有環境が重なっている可能性があります。
Q40. 検査で VUS が見つかったときの説明として、最も適切なものはどれですか。
VUS は「現時点では意味づけが確定していないバリアント」です。追加情報と合わせて解釈します。
Q41. 常染色体劣性の入門モデルで、親が A/a と a/a のとき、子どもが保因者 A/a である確率は何%ですか。
A/a × a/a では、A/a と a/a が半々です。保因者 A/a は 50% です。
Q42. 家族歴メモを作るときに押さえておきたい項目の例にあてはまらないものはどれですか。
続柄・診断名や症状・診断年齢・父方/母方・既存の検査結果などは、家族歴メモの中心的な項目です。「好きなテレビ番組」は遺伝カウンセリングや受診の入口では関係が薄く、あてはまりません。
この講座の着地点
- DNA・遺伝子・染色体・ゲノムを 同じものと思わずに言い分けられる。
- 減数分裂で配偶子ができ、受精で染色体がふたたびそろう流れを追える。
- 常染色体優性 / 劣性を 4 マスの表 で読み、「各妊娠ごと」を崩さない。
- X 連鎖・ミトコンドリア・染色体数の変化・de novo を、受けつがれ方の違いとして整理できる。
- 多因子・遺伝的素因・浸透率・可変表現を運命論にせず、リスクの見方として扱える。
- VUS・陰性結果・家族歴メモを、それぞれの意味と限界とともに読める。
次にやると定着しやすいこと
- 身近な家系について「続柄 / 診断名 / 診断年齢 / 父方か母方か / 検査歴」の 1 行メモを、家族一人ずつ並べてみる。
- ニュースや記事で「リスクが○倍」という表現を見たら、もとの絶対リスクが何%かも一緒に調べる習慣をつける。
- X 連鎖や mtDNA の話題に出会ったら、まず 「誰から誰へ、何が渡るか」 を紙に書いて確認する。