主要な合成高分子 — PE・PP・PVC・PS・PET
代表的な熱可塑性樹脂 5 種を、構造の見方と用途の両方から整理する。
このページで先に知っておく言葉
高校化学との橋渡し
第 2 章で見た付加重合のモノマー(エチレン・プロピレン・スチレン・塩化ビニル)と縮合重合の代表例(テレフタル酸 + エチレングリコール)が、本章で扱う 5 種の樹脂につながります。側鎖に何が付いているかを見ると、樹脂ごとの性質の違いが整理しやすくなります。
まずは 5 種の地図をつくる
合成高分子の入門では、まず PE・PP・PVC・PS・PET の 5 種を同じ地図に置けるようになると、その後の材料名がかなり追いやすくなります。
『どんな側鎖や官能基を持つか』『どんな用途でよく見るか』を対応づけます。
代表 5 樹脂の概要比較
| 樹脂 | 構造の見方 | 最初に見る性質 | よく見る用途 |
|---|---|---|---|
| PE | 最も基本的な炭化水素鎖 | 軽い、柔らかめ、耐水性 | フィルム、ボトル、タンク、パイプ |
| PP | 側鎖にメチル基 | PE より熱にやや強い、軽い | 食品容器、ヒンジ、繊維、不織布 |
| PVC | 側鎖に塩素 | 硬質にも軟質にもできる | パイプ、窓枠、ケーブル被覆 |
| PS | 側鎖にフェニル基 | 硬い、透明にしやすいが割れやすい | 容器、発泡トレー、緩衝材 |
| PET | 芳香環とエステル結合をもつ | 強度・透明性・ガスバリアのバランス | 飲料ボトル、フィルム、ポリエステル繊維 |
PE — 最も基本的な炭化水素鎖
PE は、シンプルな炭化水素鎖をもつので、まず『高分子の基本形』として覚えやすい樹脂です。フィルム、ボトル、タンクなど幅広く使われます。
分岐の違いで低密度側と高密度側の性質が異なり、同じ PE でも触感や剛性がかなり変わります。
PP — 曲げヒンジや耐熱寄りの入門樹脂
PP は PE よりもやや熱に強く、繰り返し曲げる部分とも相性がよいので、食品容器のヒンジや生活用品でよく見ます。
PVC と PS — 塩素を持つ樹脂、フェニル基を持つ樹脂
PVC は塩素をもつため、硬質にも軟質にも設計しやすく、パイプやケーブルで重要です。とくに軟質 PVC では可塑剤と呼ばれる添加剤を加え、分子の動きを助けて材料を柔らかくします。詳しい添加剤の話は第 6 章で扱います。PS はフェニル基を持ち、硬く透明にしやすい一方で割れやすさも出やすいので、発泡体を含めて使い分けます。
PET — ボトルと繊維の両方で重要
PET は、透明ボトルでもポリエステル繊維でも重要な材料です。分子配向をうまく使うと、ボトルでは強さとガスバリア、繊維では強度と寸法安定性が出しやすくなります。
この章のひとことでまとめ: PE・PP・PVC・PS・PET の 5 種を、構造と用途をセットで覚えると、熱可塑性樹脂の地図が読みやすくなる。
理解チェック — 代表 5 樹脂の読み分け
PE・PP・PVC・PS・PET の特徴を整理するための 6 問です。
Q1. 塩素を含む代表的な樹脂として、もっとも近いものはどれでしょうか。
PVC はポリ塩化ビニルで、側鎖に塩素を持つ代表樹脂です。
Q2. 透明な飲料ボトルでよく使われる代表樹脂として、もっとも近いものはどれでしょうか。
PET は透明ボトルとポリエステル繊維の両方で重要な材料です。
Q3. 繰り返し曲げるヒンジ付き容器と相性がよい代表樹脂として、もっとも近いものはどれでしょうか。
PP は軽く、耐熱寄りで、ヒンジ用途でもよく使われます。
Q4. 発泡トレーや緩衝材でよく見る代表樹脂として、もっとも近いものはどれでしょうか。
PS は発泡体にもなりやすく、容器や緩衝材でよく見ます。
Q5. 最も基本的な炭化水素鎖をもつ代表樹脂として、もっとも近いものはどれでしょうか。
PE は高分子の基本形として理解しやすい、シンプルな炭化水素鎖をもつ樹脂です。
Q6. PVC に可塑剤を加える主な目的として、もっとも近いものはどれでしょうか。
可塑剤は分子の動きを助け、PVC を柔らかくします。詳細は第 6 章の添加剤の節で扱います。
第 4 章のまとめ
- PE は基本形、PP は耐熱寄り、PVC は硬質にも軟質にもできる。
- PS は硬く透明にしやすいが割れやすく、発泡体でも重要。
- PET はボトルと繊維の両方で重要な代表ポリエステル。