合同会社小村ソフト
第 4 章

主要な合成高分子 — PE・PP・PVC・PS・PET

代表的な熱可塑性樹脂 5 種を、構造の見方と用途の両方から整理する。

このページで先に知っておく言葉

PE
ポリエチレン。最も基本的な炭化水素鎖をもつ代表樹脂。
PP
ポリプロピレン。側鎖にメチル基をもつ代表樹脂。
PVC
ポリ塩化ビニル。塩素を含む代表樹脂。
PS
ポリスチレン。フェニル基をもつ代表樹脂。
PET
ポリエチレンテレフタレート。代表的なポリエステル。
熱可塑性樹脂
加熱で軟化し、冷やすと固まる樹脂。再成形しやすい。
可塑剤
樹脂に加え、分子の動きを助けて材料を柔らかくする添加剤。軟質 PVC で典型的に使われる。詳細は第 6 章で扱う。

高校化学との橋渡し

第 2 章で見た付加重合のモノマー(エチレン・プロピレン・スチレン・塩化ビニル)と縮合重合の代表例(テレフタル酸 + エチレングリコール)が、本章で扱う 5 種の樹脂につながります。側鎖に何が付いているかを見ると、樹脂ごとの性質の違いが整理しやすくなります。

まずは 5 種の地図をつくる

合成高分子の入門では、まず PE・PP・PVC・PS・PET の 5 種を同じ地図に置けるようになると、その後の材料名がかなり追いやすくなります。

PE、PP、PVC、PS、PET の構造の見方と用途を 5 列で示した図

『どんな側鎖や官能基を持つか』『どんな用途でよく見るか』を対応づけます。

代表 5 樹脂の概要比較

樹脂構造の見方最初に見る性質よく見る用途
PE最も基本的な炭化水素鎖軽い、柔らかめ、耐水性フィルム、ボトル、タンク、パイプ
PP側鎖にメチル基PE より熱にやや強い、軽い食品容器、ヒンジ、繊維、不織布
PVC側鎖に塩素硬質にも軟質にもできるパイプ、窓枠、ケーブル被覆
PS側鎖にフェニル基硬い、透明にしやすいが割れやすい容器、発泡トレー、緩衝材
PET芳香環とエステル結合をもつ強度・透明性・ガスバリアのバランス飲料ボトル、フィルム、ポリエステル繊維

PE — 最も基本的な炭化水素鎖

PE は、シンプルな炭化水素鎖をもつので、まず『高分子の基本形』として覚えやすい樹脂です。フィルム、ボトル、タンクなど幅広く使われます。

分岐の違いで低密度側と高密度側の性質が異なり、同じ PE でも触感や剛性がかなり変わります。

PP — 曲げヒンジや耐熱寄りの入門樹脂

PP は PE よりもやや熱に強く、繰り返し曲げる部分とも相性がよいので、食品容器のヒンジや生活用品でよく見ます。

PVC と PS — 塩素を持つ樹脂、フェニル基を持つ樹脂

PVC は塩素をもつため、硬質にも軟質にも設計しやすく、パイプやケーブルで重要です。とくに軟質 PVC では可塑剤と呼ばれる添加剤を加え、分子の動きを助けて材料を柔らかくします。詳しい添加剤の話は第 6 章で扱います。PS はフェニル基を持ち、硬く透明にしやすい一方で割れやすさも出やすいので、発泡体を含めて使い分けます。

PET — ボトルと繊維の両方で重要

PET は、透明ボトルでもポリエステル繊維でも重要な材料です。分子配向をうまく使うと、ボトルでは強さとガスバリア、繊維では強度と寸法安定性が出しやすくなります。

この章のひとことでまとめ: PE・PP・PVC・PS・PET の 5 種を、構造と用途をセットで覚えると、熱可塑性樹脂の地図が読みやすくなる。

理解チェック — 代表 5 樹脂の読み分け

PE・PP・PVC・PS・PET の特徴を整理するための 6 問です。

Q1. 塩素を含む代表的な樹脂として、もっとも近いものはどれでしょうか。

Q2. 透明な飲料ボトルでよく使われる代表樹脂として、もっとも近いものはどれでしょうか。

Q3. 繰り返し曲げるヒンジ付き容器と相性がよい代表樹脂として、もっとも近いものはどれでしょうか。

Q4. 発泡トレーや緩衝材でよく見る代表樹脂として、もっとも近いものはどれでしょうか。

Q5. 最も基本的な炭化水素鎖をもつ代表樹脂として、もっとも近いものはどれでしょうか。

Q6. PVC に可塑剤を加える主な目的として、もっとも近いものはどれでしょうか。

第 4 章のまとめ

  • PE は基本形、PP は耐熱寄り、PVC は硬質にも軟質にもできる。
  • PS は硬く透明にしやすいが割れやすく、発泡体でも重要。
  • PET はボトルと繊維の両方で重要な代表ポリエステル。