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第 2 章

反応式と量論 — N₂ + 3H₂ ⇌ 2NH₃ を手で読む

反応式を『暗記する式』ではなく、必要比・生成比・律速しやすい原料を読む道具として使えるようにする。

まずは反応式を 3 つの読み方で見る

反応式 N₂ + 3H₂ ⇌ 2NH₃ は、少なくとも 3 通りに読めます。必要比生成比可逆反応であること です。最初のうちは、難しい平衡式より先にこの 3 つを確実に読み取れるようにしてください。

  • 必要比: N₂ 1 に対して H₂ は 3 必要。
  • 生成比: N₂ 1 から NH₃ は 2 できる。
  • 可逆性: NH₃ ができる向きだけでなく、元へ戻る向きもある。
N₂ と 3 分子の H₂ から 2 分子の NH₃ ができる量論比の図

係数 1 : 3 : 2 は『必要比』『生成比』『可逆性』の 3 つの読み方を同時に含みます。

制限試薬は『全部使い切りたい側から逆算する』

量論問題で迷ったら、まず片方を全部使うのにもう片方が何倍必要かを見てください。たとえば N₂ が 2 mol あるなら、H₂ は 6 mol 必要です。実際の H₂ がそれより少なければ、H₂ が制限試薬です。

コツ: 係数比を暗記するのでなく、「N₂ を全部使うのに H₂ は 3 倍いる」 と文章で言えるようにすると、後の装置設計でも迷いにくくなります。

小問 1〜3 — 必要比・生成量・制限試薬

係数 1 : 3 : 2 を、必要量・生成量・制限試薬として読みます。

Q1. 反応式 N₂ + 3H₂ ⇌ 2NH₃ に照らして、N₂ 1 mol に必要な H₂ は何 mol ですか。

係数をそのまま読みます。

Q2. N₂ が 4 mol、H₂ が 12 mol あるとします。両者がちょうど量論比でそろって完全に反応したなら、NH₃ は最大で何 mol できますか。

4 mol の N₂ からは係数 2 倍の NH₃ ができます。

mol

Q3. N₂ が 2 mol、H₂ が 3 mol あるとき、先に足りなくなるのはどちらですか。

N₂ 2 mol を全部使うには H₂ が何 mol 必要か考えてください。

同じ温度・圧力なら体積比でも読める

気体を同じ温度・圧力で比べるなら、モル比と体積比を同じ感覚で扱えます。したがって 1 L の N₂ に対して H₂ は 3 L 必要です。入口の流量設計でまず比を見るのは、この感覚があるからです。

反応器の外で NH₃ を取り出す意味

この反応は可逆なので、できた NH₃ をそのまま系内に残し続けると前進側を使いにくくなります。そこで反応後に冷却・分離して NH₃ を取り出し、未反応ガスを戻すことでループ全体の利用効率を上げます。

ここでようやく、反応式と装置がつながります。反応器の中だけで 100% 終わらせようとせず、外で分けて戻すのが実機らしい発想です。

小問 4〜6 — 体積比・可逆性・NH₃ を取り出す意味

体積比、可逆反応、NH₃ を分離する意味を確認します。

Q4. 同じ温度・圧力で考えるとき、N₂ を 1 L 完全に反応させるには H₂ は何 L 必要ですか。

気体の体積比も係数比で読めます。

L

Q5. 反応式の ⇌ は何を示していますか。

生成した NH₃ 側からも元へ戻る向きがあるかを考えてください。

Q6. 反応後の混合ガスを冷やして NH₃ を分離することの意味として最も近いものはどれですか。

単に製品を集めるだけでなく、ループ全体の向きにも効きます。

第 2 章のまとめ

  • 係数 1 : 3 : 2 には必要比・生成比・可逆性の 3 通りの見方がある。
  • 制限試薬は「全部使い切るのに相方が何倍必要か」で見分ける。
  • 同じ温度・圧力なら体積比もモル比と同じ感覚で扱える。
  • 可逆反応なので、反応器の外で NH₃ を分離して未反応ガスを戻すのが実機の発想である。