合同会社小村ソフト
第 7 章

総合演習と全問レビュー — 適材適所で説明する

個別の知識をケース問題でつなぎ、上流炭素強度・貯蔵方式・利用方式・安全設計を一つの説明として組み立てる。

最後は「分子」ではなく「バリューチェーン全体」で説明する

ここまで来たら、単に「水素は軽い」「燃料電池は水が出る」と言えるだけでは足りません。どの経路で作り、どの形で運び、どの装置で使い、どこで安全配慮を入れるのかを、一つの流れとして説明できることがゴールです。

次のケース問題では、「どこを見落とすと議論が崩れるか」を先に考えます。上流・物流・利用方式・安全のどこを混ぜたかで、誤解の場所が見えてくるからです。

総合演習で使う視点

この章で使う見方
第 1 章水素はエネルギーキャリア。つくる・ためる・運ぶ・使うを一つの系として読む
第 2 章質量あたりと体積あたりを分ける。LHV / HHV と圧縮・液化の意味
第 3 章色名より経路と電力。SMR・水電解・炭素強度で比較する
第 4 章350/700 bar・液体・キャリアを距離・規模・追加工程で選び分ける
第 5 章燃料電池と燃焼利用の違い。NOx・換気・漏えい検知・火炎検知
第 6 章シミュレータでどのノブがどの指標に効くか

ケース 1〜2 — 適材適所とライフサイクル

運用条件から比較候補に入れる理由と、利用場所だけでは評価できないことを確認します。

Q1. 高稼働で短時間補給を重視するモビリティ用途を検討しているチームが、電動化の一案として水素を比較対象に入れる理由として最も近いものはどれですか。

この講座では「万能解」ではなく「比較候補」として扱いました。

Q2. 「燃料電池車の排気は水だけだから、その水素は必ず低炭素だ」という主張に対しては、次のように整理します。最も適切なものはどれですか。

「上流を見る」を最後にもう一度。

ケース 3〜4 — 体積制約とキャリアの追加工程

体積制約の方向と、キャリア利用で意識すべき工程を確認します。

Q3. 同じ量の H₂ を車両へ積むとき、まず「体積を詰めたい」という理由で検討されやすい方向として最も近いものはどれですか。

圧力を上げると体積側がどう動くかを思い出してください。

Q4. 海外からアンモニアキャリアで水素を運び、需要地では純水素として使いたい場合、追加で意識すべき工程として最も近いものはどれですか。

キャリアは「戻す工程」までで一つでした。

ケース 5〜6 — 安全設計と全体まとめ

安全設計の組み合わせと、講座全体のまとめを確認します。

Q5. 水素設備の基本的な安全設計の組み合わせとして最も近いものはどれですか。

「見えにくい炎」「漏えい」「材料」を思い出してください。

Q6. この講座のまとめとして、次のうちあてはまらないものはどれですか。

「色名より経路と電力」を思い出してください。

この講座の着地点

  • 水素を 一次エネルギーではなくエネルギーキャリアとして捉え、つくる・ためる・運ぶ・使うを一つの系として説明できる。
  • 質量あたりと体積あたりを分けて読み、水素が軽いが体積では不利になりやすい理由を言える。
  • 色名ではなく経路と電力で炭素強度を評価し、SMR・水電解・ブルー / グリーンを位置づけられる。
  • 貯蔵・輸送方式を 350/700 bar・液体・キャリアとして距離・規模・追加工程で選び分けられる。
  • 利用方式を 燃料電池と燃焼に分け、効率・NOx・火炎検知・換気の論点を整理できる。
  • 安全を 特性に合わせた工学設計として、換気・漏えい検知・火炎検知・材料選定・訓練の組み合わせで説明できる。
  • 第 6 章のシミュレータで見た気候スコア・有効エネルギー・収納しやすさ・運用リスクの動きを、本文の用語で言い換えられる。

次にやると定着しやすいこと

  1. 第 6 章のシミュレータでプリセットを一通り押し、各指標の動きを本文の用語で 1 文ずつ説明する。
  2. 「上流炭素強度だけ上げる」「利用方式だけ変える」「貯蔵方式だけ変える」を 1 変数ずつ動かして、気候スコア・有効エネルギー・収納しやすさのどれに効いているかを切り分ける。
  3. 燃料電池車 / 水素エンジン / 定置バックアップ / 輸入キャリア発電のそれぞれで、上流・物流・利用方式・安全設計のどこが論点になるかを自分の言葉で紙に書き出す。